柔軟性がライディングに与えるメリット

ラジオ体操をする男性

股関節の柔軟性が体重移動をスムーズにする

バイクを操作する上で、ライダーの体はサスペンションの一部であるとも言われます。
特にカーブを曲がる際の体重移動において、股関節の柔軟性は非常に重要な役割を果たします。

体が硬いと骨盤の動きがロックされてしまい、下半身を使ってバイクを倒し込むことが難しくなります。
その結果、無意識のうちにハンドルを腕でこじったり、上半身だけを無理にひねったりするフォームになり、タイヤのグリップ感を掴みにくくなってしまいます。

逆に股関節周りが柔らかいと、シートの上でお尻の位置をずらしたり、ステップに荷重をかけたりする動作が非常にスムーズになります。
バイクの挙動を邪魔することなく、人馬一体となってコーナーを駆け抜けることができるのです。

また、路面からの突き上げに対しても、股関節がクッションとなって衝撃を吸収してくれるため、挙動が乱れにくく、安定したライディングが可能になります。

スムーズな体重移動は安全マージンを広げることにも繋がるため、日頃から開脚ストレッチなどを行い、少しずつ可動域を広げていくことが、ライディングテクニック向上の近道と言えるでしょう。

長時間のライディングでも疲れにくくなる

楽しいはずのロングツーリングが、後半になるとただの苦行に変わってしまうことはないでしょうか。
その原因の多くは、体の硬さからくる血流の悪化にあります。

筋肉が硬い状態で長時間同じ姿勢をとり続けると、血管が圧迫されて血流が滞ります。
これが、肩こりや腰痛、全体的な倦怠感となって現れるのです。

柔軟性のあるしなやかな筋肉は、収縮と弛緩を繰り返すことでポンプのように血液を全身に巡らせる能力が高いのが特徴です。
走行中のわずかな体の動きでも効率よく血流を促すことができるため、長時間乗っていても疲れが溜まりにくくなります。

また、体が柔らかいと、走行風の抵抗や加減速のGに対しても、柳の枝のようにしなやかに耐えることができます。
無駄な力みが入らないため、エネルギーの消費を抑えることができ、結果として長距離を走っても翌日に疲れを持ち越さないタフな体を手に入れることができるのです。

転倒時のケガのリスクを減らす

公道を走る以上、路面状況の変化や他車の動きなどにより、予期せぬ転倒のリスクは避けられません。
そんな万が一の瞬間、生死を分けるあるいは重症度を左右するのが体の柔軟性です。

体が硬く緊張していると、転倒した際の衝撃が骨や関節にダイレクトに伝わってしまい、骨折や靭帯損傷などの大怪我に繋がる可能性が高くなります。

また、柔軟性は身体操作のスピードや反応速度にも影響します。
危険を察知した瞬間に体がスムーズに反応できれば、転倒そのものを回避できる確率も上がります。

プロのレーサーが過酷なクラッシュから生還できるのも、頑丈な装備だけでなく、日頃のトレーニングで培った柔軟性の高い体があるからです。
長く安全にバイクライフを楽しむためのプロテクターとして、柔軟性は最強の装備と言えるかもしれません。